肉眼で菌を見ることができる大学生・沢木がわちゃわちゃする醸し漫画「もやしもん」。
その6巻は「フランス編」。
その中で、日本人の登場人物(ちょっとヤなやつ)がカキの食べ過ぎでノロウイルス性胃腸炎にかかり、
「くそっ、こっちの医者はヤブばっかだ。
薬も出さずにコーラ飲んでろとか言いやがった」
的な場面があります。
まだフランスに行く前だった私はほんまかいなと思ったものですが、
本当でした。
日本でのノロウイルスの扱い
「今年もノロウイルス感染者が増加しています」
冬になると、深刻な顔でトップニュース扱いされたりしますよね。
感染しないためにはうがい・手洗いをしっかりと、
疑いのある人には近づかないなど、対策方法が繰り返し報道されます。
大発生した時は、防護服来た人が消毒する様子を映したニュースを見た気も……
もし「ノロっぽいです」と会社に申告すれば、
「治るまで絶対出てくるな!うつるから!(ヒィィ」
と言われるノロウイルス。
しかしフランスだと、そこまで重大な扱いはされません。
フランスだと風邪程度の扱い?
フランスにもあります、ノロウイルス。
ただ、「ノロウイルス」と言っても、
たとえフランス語っぽく「のぉrrろ(”rr”でフランス語の音を表現)」と発音しようとも、
「何それ?」と言われてしまいます。
ノロウイルスに限らず、ウイルスが原因で引き起こされる胃腸炎は
フランス語で「gastroenterite(ガストロアンテリット)」。
通称「ガストロ」。
ノロとは言いません。
冬のフランス人の会話だと、頻繁に出てくるこの単語。
「いやあこの前ガストロかかっちゃってさ~」
「え~、私も~、ツライよね~」
という会話があっちこっちでなされるのですが、その時に
「大変だったね、病院行った?」というと、「何で病院に行く必要が?」と不思議な顔をされます。
コーラが薬になる……らしい
まあ確かに胃腸炎の場合は、本当に重篤な場合を除き、
体の毒素を出さないことには治らないといわれます。
じゃあフランス人は、ガストロにかかったらどうするか。
ここで登場、コカ・コーラ。
「私、ガストロっぽいかも」というと、そっとコーラを差し出されます。
何でコーラなの
コーラが医薬品でないことくらい、フランス人も知ってます。
じゃあなんでコーラを飲むか。
それは、
「水分(飲み物だから)とカロリー(糖分たんまり)を同時にとれるうえ、
含まれてる化学物質的なものと炭酸がお腹の消毒をしてくれるから」
という、わかったようなわからないような理由から。
でも民間療法みたいなもので、医者は否定するんじゃないのと思った方、
コーラ並みに甘い。
実例その1:フランス語の先生
通っていたフランス語学校の先生の実体験。
ある夜半、突然の発熱と嘔吐、下痢に襲われたそう。
苦しくて苦しくて、とりあえず夜間対応もしてくれている医者に電話してみたそうです。
「いつから症状が出たか」「その症状は今も続いているか」をひとしきり聞いた後、
医者が言いました。
「あなたの家に、コーラはありますか?
あるならそれを飲んで、朝になって症状がひどくなってたら私のところに来て下さい」
電話ガチャ切り。
実例その2:私
かくいう私も、フランスでかかったことがあります。
いやあ、あれはツライ……もう2度とかかりたくない……
しかし義家族たちのリアクションは、
「あらぁ大変……かわいそうに。はいこれ(そっとコーラを差し出す」
くらいのうっすーいもの。
そうか、耐えるしかないのか……と、
コーラのボトルを握りしめながら思いました。
本当にコーラだけ?
とはいえ、薬を飲む場合もあります。
大体において差し出されるのはこれ、「smecta(スメクタ)」。
どうやら世界40か国以上で重宝され、胃腸炎などの症状緩和に愛されているというこの薬。
味はとても愛せるものではありません。
何故ならこれ、顆粒なのでそのまま飲むこともできるんですが、
水やぬるま湯に溶かしてゆっくり飲んだほうが効くと言われているから。
水にとかしたそれは、見た目も味も、例えるなら泥。
泥以外の形容が思い浮かぶ方が居たら教えてほしいくらいの泥。
女性ならわかる、クレイパック。あれを薄めて飲んでる感覚だと思ってよろしい。
ただでさえ胃腸炎の吐き気で気持ち悪いっていうのに、
何で泥水飲まなきゃあかんのん……と涙目で思うこと間違いなし!
いくら臭くても、一息に呑める正露丸の方がまだまし……と思うレベル。(しかも糖衣あるし)
ただこの泥水……じゃない、スメクタ。
やはりプレーン版では味に問題を抱えているのか、少しでも飲みやすくという配慮なのか、
「オレンジバニラ味」「いちご味」なんてものもあるらしい。
余計な配慮すぎる。
でも効くんだ、この泥。
日本にも売ってた
うわっ、このスメクタ……
日本では、「スメクタテスミン」の名前で佐藤製薬が発売してた、知らなかった!
バニラ味一択の模様。
日本の薬事法的な関連で、海外製品と成分が同じかはわかりませんが、
この「スメクタ公式サイト」にある特集ページの一つに、
「クレイの伝道師のインタビュー」が。
ほら、やっぱ泥じゃん!
今年の冬、もしノロなどの胃腸炎にかかったら、
この泥水を試してみるのはいかがでしょうか。
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