巷にあふれるテーブルマナーの本。
同じトピックでも書いてあることが本ごとに微妙に違ったり、はたまた妙に複雑だったりで「ぐぬぬ」となってしまいがちですよね。(ならない人はすごい)
西洋にも、日本ほど複雑怪奇ではないものの、色々とテーブルマナーが存在します。
例えば、「ナイフとフォークは外から使う」。今や誰もが知っているところ(たぶん)ですが、内容によってはフランス式とイギリス式、時にアメリカ式が出てきちゃったりして、頭がこんがらがらがることも。考えてみれば、西洋といっても色々な国が存在しているわけで「西洋のマナー」でひとくくりにできないのも合点がいくというもの。ほら、アジアだって、お茶碗は手に持つ日本と、テーブルに置いたままにする中国・韓国という違いはあるので、一概に「ごはん茶碗はこう!」とは言えないしね。
ちなみに私、スイス留学時代、学校の授業の一つにテーブルマナーがありました。
学校があったのがスイス・フランス語圏だったため、主に学んだのはフランス式のもの。学校自体がインターナショナルスクールで、世界各国から生徒が集まり、且つ若い世代も多かったため、それこそ基本のキから習いまして。知ってることもあったけど、「なるほど!!」と膝を打つこともあったりで非常に面白い経験でした。
せっかく授業を受けたことだし、記憶を掘り起こしながら、私が習ったフランス式テーブルマナーの基本のキをいくつか書いてみようと思います。ちなみに先生は若干IK●Oさん風味な方でした。
フランス式テーブルマナーを習いました
習ったテーブルマナーに関して、主だったところを書いていきたいと思います。※決して「今現在でも覚えていること」ではない
ナプキンのたたみかた
席についてまず悩むやつー!
テーブルにつくと、目の前のお皿に綺麗に飾られているナプキン。取るタイミングは「テーブルの上に何かがサーブされる時」がスマートという先生談。先に飲み物だけをオーダーした場合は、それがグラスに注がれた時もしくはグラスが来た時。飲み物食べ物を全て決めるなら、メニューが回収されて、これまた飲み物がサーブされた時。メニューを渡された時点でナプキンを取るのは、「めっちゃがっついてるように見えるからエレガントではない」らしいです。
で。いざナプキンを取ったら……どう置きますか?
三角にする説。折らずに全部膝に拡げる説など色々ありますが……学校で言われたのは、「二つ折りにして、自分の体側が開くように」しておき、口元を拭う時はカパっとナプキンを開き(あくまでエレガントに)、内側を使い、また同じようにして膝上に畳んでおく。そうすることで、周りからはナプキンの汚れが見えないし、ナプキンについた汚れで自分の着ている服を汚すこともありません。なるほど、合理的!(*’▽’)と思って以来、私はこのやり方を貫いています。
パーソナルスペースについて
これ、特に茶道や香道をやってる人は要注意! 日本人、肘張りすぎ問題。
テーブルに着いたときの自分の領土は、自分用のカトラリーの幅。これが、肘を張っちゃうとお隣さんのエリアを侵略しちゃいかねないのです。
茶道をやっていると、ある程度両脇の下に余裕を持たせる姿勢になり、結果として肘がにょっと両側に張ることに。「もっと、脇をしめて!」と先生から何度言われたことか……そしてこの肘張りに関しては、何よりも「勇ましく見えてエレガントではない」というレディとして致命的なコメントを頂いてしまい、「そうか、ヤマトナデシコは勇ましいのか……」と、よくわからない思考に陥りました。
自分の領分は、自分用のカトラリーと同じ幅くらい。結構狭いよ!
カトラリーの順番と使い方
目の前に整然と並ぶナイフとフォーク。
基本は外側から~……と思っていれば間違いないのですが、たまにトリッキーなやつがいる。テーブルにあらかじめセットされていなくて、料理と一緒に渡されるパターンとかね。
それでもし間違って使っちゃったとしても、慌てない、テーブルに戻さない。次の料理用のカトラリーを間違って使っちゃったとしても、後でそっと持ってきてくれるから大丈夫。落とした時も慌てない慌てない、自分で拾わない。
ちなみにフランス式だと、ナイフとフォークを使うお皿の場合、ナイフを置いてフォークを右手に持ち替えて食べても良し。ただし、右手に持ち替えたフォークで料理を切るのはNGだそう。うっかりフォークで切り分けそうになっちゃうけどね、柔らかい魚とか(*’▽’)
そして食べ終わったら、ナイフとフォークをお皿にそろえておきましょうと言われますが……フランス式は4時20分くらいの斜め感で、イギリス式は6時半、アメリカ式は3時15分の角度らしい。国によって随分違うもんだー。
大皿から取り分ける場合
ある日先生が、「さて、晩さん会に呼ばれたとしましょう」と言い出したことがあり……ば、晩さん会ねえ(‘Д’)と慄いた、いち庶民な私。
ええでも、人生何が起こるか分かりませんから。もしかしたら将来的に、晩さん会に呼ばれちゃう可能性だって、限りなくゼロに近くとも完全にゼロではない。
もし、晩さん会に呼ばれたら。
テーブルで談笑していると、給仕の人が大皿を持ってやってきます。そこから自分の分をゲットするわけですが……さあどうしたらいいか。
フランス式の場合、「これとそれとあれを下さいな」と伝え、給仕の人が自分のお皿に載せてくれます。しかしイギリス式の場合……大皿に、一緒にとりわけ用のカトラリーがついており、自分で好きな分だけ取るんだそう。き、緊張してたら失敗する予感しかしないんだけど……!( ゚Д゚)
ちなみに日本の宮中晩さん会はイギリス式だよ!自分で取り分ける形式だよ!
ソースはパンで拭って食べていい
巷のマナー本で良く書かれている、お皿に残ったソースはパンで拭って食べていいのかどうか。
「行儀悪いからダメ」と言っているものから、「パンをフォークの先にさして拭いましょう」と書いてあるものまでさまざま。さてどれが正解に近いのか。そしてパンでソースをぬぐって食べるのはアリなのかナシなのか……
先生曰く、大アリ(*’▽’)
パンをちぎって手でソースを拭ってOK、何も恥ずかしいことはないとのこと。良かった、ソース美味しいもんね。
特にフランス料理の場合、シェフはソースに命を懸けているといっても過言ではないので、その最後の一滴まで食べるのは「本当にこの料理が美味しかった!」ということを表しているので、ソースはパンで拭って食べてもいいのよ!でも、「パンは炭水化物だからあんまり食べたくない……そうだ、ソースだけ吸おう!」って、ソースの染みたパンをちゅーちゅーしちゃだめよ!……って、そんなことしませんよ先生w
ちなみに、日本のマナー本で見かけた「パンをフォークにさしてソースを拭う」というやり方はどうですかと聞いてみたところ、「フォークの先でお皿を傷つけかねないので宜しくないし、そもそもパンはフォークにさすものではない」とのこと。なあるほどね。
ナイフをなめるな
「まじで?」と、マナーの授業中に思わず言ってしまいそうになった私。危ない危ない。まじでなんてお言葉遣い、エレガントでなくてよ、オホホホ。
でも、まじで?って思うでしょ。「ナイフはなめてはいけない」って。
当たり前じゃんとかそれ以前に、危なくない?それ……( ゚Д゚)
だって、ナイフを舐めてもしまかり間違って口の中スパーッとかいった日には、テーブルマナーどころじゃないじゃん。血染めのテーブルクロスとかやだやだ。
でもね、若い生徒だと結構いたんですよ……ナイフ舐める系女子! 主に10代ね。ナイフをべろんと舐める様は、「あ、パイレー〇・オブ・カリビアンの中の人だ」って感じ。前世海賊かなんかですかと100回くらい問いたくなってしまう。
ナイフを舐めるのはお行儀が悪いとかそういうのは抜きにして、私は絶対舐めない……だってコワイもん……
テーブルマナーはお互いが食事を楽しむためのもの
とはいえ、そこまで肩肘をはって緊張しなくても大丈夫。テーブルマナーは、ルールに則ることを目的としたものではなく、テーブルに着いたお互いが気持ちよく、そして楽しく食事をするために存在しているから。
なので、「あれしちゃだめ、これしちゃだめ」と考えずに、とりあえずリラ~ックス。もし間違えちゃった時は「あ、私ったらドジっこ~☆(テヘ」くらいの図太さを発揮して、とにかく慌てない、テンぱらない。それが一番大事。
「あわあわしてる方がエレガントじゃないわ!堂々と!」という先生の教えに従い、私は今日も堂々と間違えようと思います(違。
あ、ちなみに、1度の食事の中でフランス式とイギリス式のテーブルマナーを混ぜるのはNGとのこと。「フランス式と決めたら、その食事の場ではフランス式を貫くのよ!!」だそうです。
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