南フランスの地中海にある街、マントン(Menten)。イタリアとの国境にあり、街中はフランスのなかにイタリアが混ざったような、独特の雰囲気を持つのどかな場所です。
ついでに言うと、我が夫が生まれた街でもあります|д゚)
フランスの人は「フランスのどこ出身?」と聞かれた時、「大阪人」みたいに都市名で答えることがあるので、マントンの場合は「マントネ/マントネーズMentonnais(e)」。夫はしょっちゅう「僕はマントネだよ」と言っています。(女性の場合はマントネーズ)
普段は温暖で閑静な場所ですが、1年のうちある期間だけ、強烈に街が沸き立つ時が訪れます。その期間とは、毎年2月中旬から3月上旬に開かれる「マントンのレモン祭り」。
そう、なう! 今まさに開催されているお祭りなんだ!(※2019年2月20日現在)
マントンってどういう町?
マントンはコートダジュールエリアの最東端、モナコとイタリアに挟まれた場所にあります。ちょっと移動すればもうイタリアという町。そのためイタリア語を話す人も多く、町は「ザ・フランス」というよりイタリア色が強いのも特徴。
人口は3万人ほどという小さな町で、住民には高齢者も多く(夫談)、フランスの観光地にしてはびっくりするほどのどかで平和な雰囲気が漂っています。また、夏の間の保養地としても有名で、マントンに物件を買っておいて夏の間だけ来るという人も多いらしく、通常は3万人ほどの人口が、夏の間は観光客も含め数倍になることもあるんだとか。
小さな町ではありますが、入り組んだ迷路のような旧市街、丘の上に立つ教会、ジャン・コクトーが手がけたマントン市庁舎の結婚の間、現在はジャン・コクトー美術館となっている海辺の要塞など、見どころはいくつもあります。(ジャン・コクトー美術館は元からあった要塞の方と、新しくできた新ジャン・コクトー美術館があるのですが、新しい方は近代的な建物すぎて地元の人からの評判はよくn……パリのルーブル美術館にピラミッドができた時のような反応です)
もしかしたらモナコだったかもしれないマントン
歴史的に見ると、マントンは世紀単位で領主が変わった時期もあったようです。
ジェノヴァやモナコ、サルディーニャと、現在の南フランスや北イタリアに位置していた国々がマントンの領主となったり、はたまたマントンが自由都市宣言をしてサヴォイア家の管理となったりと揺れ動いたのですが、マントンがフランスの一部となったのは19世紀半ば、1868年のこと。住民投票の結果フランス帰属が決定しました。
その頃の話を町の人や親戚から伝え聞いた夫は、「モナコ帰属かフランス帰属を選ぶ選挙で、当時のモナコは今のモンテカルロ!的な国じゃなくて貧乏だったから、住民は当然のようにフランスを選んだ……けど、けど……あの時モナコを選んでたらマントンは今ウッハウハだったのに!!」とたまに文句を言っています。
マントンの気候
コートダジュールは地中海性気候で一年中温暖だといわれますが、その中でもマントンは亜熱帯の傾向があります。周りを山に囲まれているため風も少なく、冬の間も温かく0度以下になることは稀。
そのため街中には、ヤシの木やバナナの木、そしてマントンといえばのレモンの木があり、トロピカルな雰囲気も兼ね備えています。
マントンの名物
その温暖な気候から、マントンは柑橘類の生産で有名な町。
レモンやオレンジなどマントン産の果物はフランス国内でも有名。また特産の柑橘類を使ったジャムや、レモンを使ったリキュールの「リモンチェッロ」、マントン付近で生産された地のオリーブから作られたオリーブオイルなど、日常使いとしてもお土産としてもよさそうなものが多くあります。
そんなマントンで、特産のレモンを使って行われる「レモン祭り」とは一体どんなものなのでしょうか。
マントンのレモン祭りとは?
「レモン祭り」と聞いて、「レモンを投げ合う祭り」だと思った人、手ぇあげて~……
はーーーーーーーーーーーーーーい♡
え、皆そうは思わないの?|д゚)
だって、「XX(農作物)祭り」って言われたら、それを投げ合う祭りだと思わない?私は思った。有名どころだと、スペインのトマト祭り?あんな感じだと思ってた。
え?柑橘類は固いから投げたら危ない?でもイタリアだとさ、
🇮🇹イヴレアの #カーニバル『イヴレアのオレンジ合戦🍊』3/2~5 中世の独裁君主に民衆が一揆を起こしたことに由来し、馬車に乗った君主軍と住民たちの間で、オレンジを激しく投げ合います。 #イヴレア #CarnevaleIvrea
👉https://t.co/V7Z0wJQntw
➡イタリアのホテル:https://t.co/zUyImIhcv1 pic.twitter.com/Ch7JUgWqac— ヨーロッパ旅行✈情報部 (@euro_tour) 2019年2月19日
こんなお祭りあんねん。オレンジ投げ合っちゃってるじゃん。
レモン祭りも、こういうお祭りだと思ってました|д゚)心の底から思ってました。だからフランス在住時にマントンのレモン祭りに行こうと言われた時、「服装は?汚れても大丈夫な方がいいよね?あ、もしもの時用に消毒液とかばんそうこういるかな。ほかにもあった方がいいものってある?」 と聞いて、周りのフランス人を爆笑させたのは私です。
大丈夫、マントンのレモン祭りは安全なお祭りです(*’▽’)
マントンのレモン祭りの成り立ち
マントンのレモン祭りの始まりは、1895年まで遡ります。当時のマントンのホテル経営者たちが「冬の間に街を盛り上げるため、パレードでもしたらどうか」と市に提案しました。その後、マントンが世界一のレモン生産地になったこともあり、パレードに特産のレモンやオレンジを使う案が採用され、1934年からはマントン市主催のレモン祭り(Fête du Citron)が始まりました。
毎年2月中旬から3月初めまで開かれるこのお祭りは、2019年で何と86回目。毎年テーマが決められ、趣向を凝らしたオブジェが町を飾ります。また、地元農家のブースも出店し、柑橘類を使った製品を食べたり買ったりすることもできます。
Après-midi mère fille à la #FeteduCitron 🍋 C’était magnifique !@villedementon @fete_du_citron#Menton #CoteDAzurFrance #citron pic.twitter.com/BqZ6uIomHv
— Juliette Janin (@JaninJuliette) 2019年2月18日
今年のテーマは「Des Mondes Fantastiques (ファンタスティック・ワールド)」。素晴らしき世界?とも思ったけれど、ファンタスティック・ビースト的な意味合いでした。ドラゴンいるし。
2019年の開催期間は2月16日(土)~3月3日(日)までの15日間。期間中に行われるパレードやライトアップも見逃せないところ。
今年のパレード情報や各種入場料に関しては、現地で日本人向けツアーを催行している「マイ・コートダジュール・ツアー」のサイトに詳しく記載されているので参考にしてみてください。
私がレモン祭りに参加した時の話
かくいう私も、マントンのレモン祭りに行ったことがあります。
2011年、第77回のレモン祭り、テーマは「Menton célèbre les grandes civilisations(偉大なる文明)」でした。
ほ~ら、トロイの木馬だよ~。レモンとオレンジで出来てるんだからすごいよね。
マンモスもいたよ。
このオレンジとレモンのオブジェ、骨組みを作った後は地元の市役所の人や植木職人の人がいっこいっこ、手で、くくりつけていくんだそう。気の遠くなるような作業……!かくいう私の夫の兄も、これらオブジェ制作に携わっていたり……
パレードも見ました。めっちゃ人がいる!王様?の顔ちょっとコワイ。
普段は「過疎……?」ってくらい、中心部以外は人が少ないマントンですが、この時ばかりはものすごい人人人です。
紙吹雪がブシャアアアアアアアアってすると、観客から怒号のような歓声があがる。
夫のマントン評
マントン生まれの我が夫。生まれて数年しか住んでいないものの、「僕はマントン人」「マントンはおらが村!」と、この街が大好きな模様。夫の家系では祖父母以上まで遡っても誰かしらマントン人がいるので、数百年単位でゆかりがあるみたい。
とはいえ、カンヌやニースに比べて若干知名度低めなマントン。「マントンって、どこ?」と夫の前で言った日には、マントンの地理歴史や特産品など、ガイドさん顔負けの話が延々と、延々と続きます。
でもそれだけ熱く語るのも、実際マントンに行ったことがある身からするとわからないでもない。のんびりしていて、それこそバカンスで長期滞在するのにも向いているし、海も山もあって気候は温暖。うん、世界的な保養地になるのもわかるわかる!(*’▽’)
そして夫が言うには、「マントンは世界で一番きれいな街!」らしい。はいはい自己評価乙と思っていたら、どうやらフランスで開かれている「一番きれいな街選手権」みたいなコンテストで何度も優勝し、殿堂入りしてるんだとか。
もし南フランスまで行ったなら、ニースやモナコだけでなく是非マントンまで足を伸ばしてみてください。
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