「モナコは外国とは思えないほど安全だよ~」とは、良く言われる話。
実際に街を歩いてみると、日本に居る時と同じような感覚で歩けてしまうのがモナコ。(それでも日本より警戒レベルは上げておいた方がいいですが)
おそらくそれは、警察官の数から来ているのもあると思われます。一説には、「モナコの住民100人あたりに1人警察官がいる」と言われるほど。モナコの人口は3万人くらいなので……単純計算、あの小さい国に警察官300人もいる!?マジ?|д゚)
でもそれがあながちウソではないと思うのが、街を歩いている時。あらゆるところにおまわりさんがいます。
パトロール中の人、パトカーや白バイで警邏中の人、町の要所要所で見張ってる人など……ほんとに、見回せば視界のどこかにおまわりさん!という感じ。
しかも、「身長180cm以上っていう規定でもあるん……?」と聞きたくなるほど背が高く、体格もガッチリ。そして最低2か国語(フランス語・英語必須)は絶対に話せます。そして観光客の道案内までしてくれるので、もしモナコで道に迷ったら、そこらへんの人よりおまわりさんに聞いた方がいいというくらい。(超絶親切に、紳士的に教えてくれます)
そんな紳士的なモナコのおまわりさんから、私、人生初の職務質問を受けちゃったんだよね……
モナコで人生初の職務質問を受けた話
職務質問。職質。
警察官がいわゆる挙動不審者を停止させ,質問すること。その対象となるのは,異常な挙動その他服装,携帯品,時間,場所など周囲の事情から合理的に判断して,罪を犯しまたはこれから罪を犯そうとしていると疑われる者,およびすでに行われた犯罪または犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者で(警察官職務執行法2条),質問は通常,行先や用件から住所,氏名,年齢,職業,さらに所持品の内容などに及ぶこともある。
「警察官職務執行法」は日本の法律なのでモナコは事情が違うとしても、警察官が対象者を「停止させ、質問する」のは一緒。質問が「行先や用件、住所氏名などなど……」というのも同じ。
生まれて30年以上、日本では一度も職質など受けたことがない私。(ああ、夜中歩いてて”これからお帰りですか?お気をつけて~”ってすれ違ったおまわりさんに言われたことくらいはある)
まさか人生初の職質を、モナコで受けるとはね!
あ、先に行っておくけど、私何も悪いことしてないから!!(‘Д’)
モナコは結構色んな所で職質をしている
「おまわりさんが多い」モナコ。その成果(?)もあってか、実際わりと色んなところで職務質問が繰り広げられています。
といっても、道を歩いている人をランダムに呼び止めて……というわけではなく、主に車に乗っている人。
見るからに「あれは捕まるねえ」というような、ボロい車に若い男子5人くらいがぎゅーぎゅーに乗っている……というような状態でなくとも、高級車だってランダムに止められる。ちなみに私、モナコのグランカジノ前の広場で、ポルシェに乗った人が職質を受けてるのを見たよ(*’▽’)真昼間だったもんで、周囲にいる観光客の注目を集めまくってたっけ……
あと、もしモナコに車で行って、「ちょっとモナコGPのコース走ってみるか♪」っていう方……ここがGPのコースかあ、ちょっと飛ばしちゃえ~なんてノリでスピード違反しないよう、絶対に気を付けた方がいい(‘Д’)モナコはマジで厳しいから。
シートベルトしてないだけ(フランスだと高速道路でなければ見逃されることもある)とか、小さな違反でもソッコー止められるそう。普段はうぇいうぇいなフランス人でも、「ここはモナコだから色々(道交法的なのとか)気を付けなきゃ」と言っていたりするくらい。
ていうか、あらゆる規則に厳しいのよ、モナコ。
例えば、2018年末にフランス滞在時、昼間はモナコに居た時のこと。サッカーの試合(モナコ対ドルムント)があるということで、昼過ぎから試合が始まるまでの数時間、「あらゆるアルコール飲料の販売禁止」というお達しがありました。
お店の人たちは当然困るわけですよ。お酒大好き!なドイツ人がわらわら来てるのに、ビールの1杯も売れないなんて!と。でも、「フランスとかイタリアならこっそり提供しちゃうとこだけど(ヲイ)、ここはモナコだから……」と、皆、遵守。フランス人まで遵守。散々文句を言いながらも、「でも、ここモナコだしね……」と呟くフランス人。反骨精神旺盛なフランス人まで従わせるなんて、どれだけ厳しいのよ、モナコ……
そんな規則の厳しいモナコで受けた職質とは。
何も悪いことをしていないのに心臓がヒュンってなった
職質を受けたのは、夜11時頃。
夫と共に、車で寝床に帰る途中のことでした。運転していたのは、義実家がやっている会社の従業員のおじさん(ルーマニア国籍)。大型バンに乗っていたので、前の席に3人横並びで座っていました。
助手席からぼーっと前方を見ていると、パトカーと数人のおまわりさんがたむろしている。「あら~、夜までお仕事ご苦労様です~」と思っていると……
「はーい、ストーーーーーーップ」
とおまわりさんがアクション。
え、止められた?(‘Д’) 全員シートベルトもしているし、法定速度は守りまくりなのに……と思っているうちに、おまわりさんが運転席の窓から「ボンソワ~」。
ここからはお決まりの、「モナコで何してるの?今からどこ行くの?車に乗ってる3人はどういう関係?」という質問。基本的に運転者が応えるターン。
でもね。遠くから何か、無線の音声が聞こえてくるんだ……それを盗み聞く(といっても音量が大きいので聞こえてくる)と、既に車種とナンバーを本部確認してる……ああ、この車、囲まれてる……と思った瞬間(;´・ω・)
その間も、職業、国籍、住所もしくは滞在先、年齢、車の持ち主(義実家の会社で登録されてる)との関係などなどなどなどをどんどん聞かれる私たち。うわーん、質問が終わらないよう~。
それでも数分経った頃、おまわりさんが「おっけ~」と言ったので、やったー、シャバだぜー! ……と思ったのもつかの間、「身分証明書出して」と。
はい、ここで全員、身分証明書(私の場合なんてパスポートだ)一時没収~……
運転席から職質担当のおまわりさんが離れていったものの、身分証明書持ってかれちゃってるからね。なんて言うか、気分は羽根をもがれた鳥?じっとしているしかない。
ああ、車内が無言になってるから、警察無線の音声がよ~~~く聞こえるわあ……すごいなあ、身分証明書に書かれてる内容を、ひとつひとつ細やかに本部に確認してる……過去の犯罪歴とか何か違反がないかとかも本部のデータベースと照合してるっぽい……(会話漏れ聞こえ)
まあ、別に脛に瑕もないので何も問題はないんですけど、やっぱ緊張するよね!
身分証明書を返却されて、いくつか残った質問(日本では何の仕事してるの?も聞かれた)をされて出発できるまで、かかった時間はおよそ30分。結構心臓がヒュンヒュンしたよ(ノД`)・゜・。
ああ、なるほどね。
夫談。モナコのおまわりさんには絶対逆らうな
日本の場合、職質を受けても「任意ですよね?それとも令状でもあるんですか?」みたいに言えば回避できる!というような説もありますが、夫曰く「モナコでは絶対に、おまわりさんに逆らってはいけない」そうだ。ヘタしたら、拒否した時点でソッコー本部に連れていかれると。
何でも、「フランスを含む他の国の警察が署名している対象者の人権保護の条約(みたいなやつ)に、モナコは署名していない」んだそう。
事件の容疑者が武装していて、周囲に甚大な被害が及ぼされる可能性があるから発砲……とかそういう人命にかかわるレベルの話は置いておいて、何においても、たとえ小さなことでも「警察官の要請に抵抗したら、場合によっては力でねじ伏せても良い」ことになっているそう。今回の場合で言うと、例えば職質で「やだやだー、絶対パスポート渡さない―!」って拒否したら、警察官が対象者を何らかの手段(力づく含む)で取り押さえることも可、ということなようで……
また、「外国で警察官に身分証提示を求められたら、まずは相手が本物の警察官か確認しましょう。偽物がいるからです」と日本のガイドブックには書いてあることもありますが、これも夫曰く「モナコに偽警官?ぜったいありえない、そんな度胸があるやつがいたら逆に見てみたい(プッ」とのこと。モナコの警察権力、すごいらしいです。
とりあえず、モナコでおまわりさんから何か質問等されたら、素直に従った方がいいよ|д゚)
ちなみに脛に瑕があったらどうなるのか
例えば、モナコでと言わず他の国でのことも含めて、実は脛に瑕があるような人が職質を受けて、何らかの事項が警察本部のデータベースで見つかっちゃった場合どうなるのでしょう。
夫曰く「今現在怪しいことをしていなくても、過去のアレやコレやが”モナコにふさわしくない”ということで、一番近くの国境までパトカーで丁重にお見送りされる」らしいです。要は、モナコから出ていけと。かといって、その後入国禁止になるというわけではないものの、職質を受けたタイミングでは、モナコの領土から出て行くように仕向けられるんだとか。
……と言っても、別に我が夫が過去に体験した話ではなく(潔白だ!)、夫の親戚にモナコの警察関係者がいるので、そこからの話だと思います。多分。
でもね、基本的に、モナコのおまわりさんはこちらが何もしなければとっても紳士的だから、心配しなくて大丈夫だよ!(*’▽’) 悪いことしちゃダメ、絶対!
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