「母は強し」。
「男は結局皆マザコン」。
母親に関して最強伝説がささやかれるのは、どうやら日本もフランスも同じようです。
ちなみに「イタリア系ママンって変じゃない? イタリアなら”マンマ”でしょ?」
と思ったあなた、鋭いですね。
私の実母は日本人、義理の母はイタリア系フランス人。
なので、義母を表すなら「イタリア系」の「ママン(フランス語)」。
だから「イタリア系ママン」。
日本の母はきめ細やかに、時には「それ過保護じゃ……」というほど子供をケアすると言われますが、
イタリア系ママンも負けてはいません。
特に子供が男の子だった場合……ええ、紛れもない過保護です。
(だからイタリア男orイタリア系男子はしょっちゅう「ママ!ママ!」って言ってるのだと思う)
我が夫いわく、
「うん、日本のお母さんって色々やりすぎだよね。下手したら子供の自立を阻害しかねないレベル。
でもまあ……イタリア系のママもそうだけどね」
とのこと。
イタリア系ママンに育てられ、自身も「ママ大好き!」な我が夫が感じた、
どっちも過保護な「イタリア系ママン」と「日本人ママ」の違いとはどんなものでしょう。
イタリア系ママン&日本人ママ
子供のことが心配で気になって、あれやこれやと世話を焼いてしまい、
「母親が何でもやってくれたがために、自分一人じゃ家事も何もできない」
という子供が出来上がってしまったというのは、特別珍しい話でもない気がします。
それくらい、日本のママはきめ細やかだし、正直いろいろやりすぎだと思う!
子供って結構勝手に育ってくから、そんなに頑張らなくてもいいんじゃ……と言ってあげたい。
(と、子供がいない私が言ってみる矛盾)
ただこの「色々やってあげる」感はイタリア系ママンにも共通するところではありますが、
我が夫をはじめイタリア系ママンの下で育った男性たちは、
「家事なんてな~んもできまへん」という人は皆無。
同じ過保護ママのもとで育って、何でこんな結果になるんでしょうか。
日本人ママが世話焼き女房なら、イタリア系ママンは押しかけ女房!?
息子を恋人のように思う母は日本にもフランスにも存在します。
が、
子供への接し方が違うような気がします。
日本人ママが「ああ……子供が心配」と先んじて色々してあげつつも影から見てるタイプ、
対するイタリア系ママンは、
「息子ラブ!大好き!大好きだからこれやっておいたわ!ママすごい?
さあ、大好きと言って!」
的な、激しさがあります。
言うなれば、日本人ママはかいがいしい世話焼き女房、イタリア系ママンは激情型押しかけ女房。
そんなだからなのか、ママ大好きに育った息子たちも決して冬彦さん的ジメジメはなく、
からっと「ママさいこー!大好きー!!」と叫んでいるのかもしれません。
なつかしいですね、冬彦さん。
日本に「マザコン」という言葉を浸透させた冬彦さん。
我が夫がこのタイプの「ママ好き」みたいなタイプだったら……ちょっと無理だわ……
愛してるけど突き放す?イタリア系ママン
母親が何でもやってくれたら、家事なんて何も覚えない結果になるのは同じじゃないの?
と思いますよね。
あれやこれやと何でもやっちゃうのは日本人ママもイタリア系ママンも同じですが、
フランスはもともと「子供は一定の年齢になったらさっさと親元を離れろ」と言う国。
ハタチも過ぎた息子が実家で両親と住んでるなんて、大丈夫なん?と思われるそうで……
その結果、
「色々やってあげるけど、さっさと親元から出ていきなさい!」
という、非常に矛盾したロジックが成り立っています。
かくいう夫も、17歳くらいで親元から独立、一人暮らしを始めました。
その時のママンはというと、
「自立するのはいいことよ、頑張んなさい、でも困ったら電話するのよ、
困ってなくても電話するのよ!ていうか毎日電話して!(寂しいから」
的なノリだったそうな。
そして一人暮らしを始めた夫は、半強制的に家事をやるようになり、
「やりゃできる」とばかりに自然と身の回りのことをこなせるようになったそうです。
子供の自立のためなら涙をのんで(るのかはわからないけど)息子を家から追い出すイタリア系ママン。
ただ元々がパワフルで楽天的なため、「陰で泣く」的な悲壮感は全くないのが可愛らしい。
対して、ママが日本人の日仏家庭に育った友達男子は、
20代も半ばの頃に「パリ東京間の飛行機、一人で乗ったよ」というドヤ発言をぶちかまし、
夫を絶句させていました。(それまではママが空港送迎、チェックイン、一緒に飛行機移動などをしてくれてたらしい)
息子のことを褒める!褒める!褒める!!!!
「よくできたわね、すごい!」「さすがね!」
と、息子に向かって褒めるのはよく見られる姿。
しかし他の人から「お宅の息子さん、すごいわね」と言われた時、
「そんなことないわよ~、近頃生意気で……」と謙遜して返すのが日本人ママ。
じゃあイタリア系ママンはというと、
「そうなのよ~、すごいのようちの息子!この前なんかね……(以下延々自慢」
となります。
親子間で「かわいい!」「すごい!」と褒めるのみならず、
他人から褒められた時にはそれを上回る勢いで褒めまくるイタリア系ママン。
私も、
「フランス人男性はちゃらいとか思ってるかもしれないけれど、うちの息子は大丈夫よ。
何てったって、愛に忠実な子だから!私の自慢よ!オホホホホホホ!!」
と言われたことがあります。(ちなみに夫は「ママン、恥ずかしいからやめて」とか言わず、ふつーに聞いている)
逆に。
親が子を家でも外でも褒めまくるフランス文化で育った子どもに、
「いや~、そんな凄くないわよ~、文句ばっかり言うしね~」みたいなことを言おうもんなら、
「ママ……ぼくのこと、きらいなの……?」
と、まじで泣きそうな目でママに訴えます。
強さ的にはイタリア系ママン<イタリア人マンマだと思う
押しも自己主張も愛情表現も強いイタリア系ママン。
でも……それでも「イタリア系ママン」は「イタリア系」であって「イタリア人」ではありません。
イタリア系フランス人ママなら、やはりフランス的な部分も強いので、
ほんまもんの「イタリア人ママ」の強烈さには勝てないような気がします。(勝ち負けじゃないけどね)
私も夫の母に会ったばかりの頃はその勢いに気おされたもんですが、
『テルマエ・ロマエ』で有名なヤマザキマリさんの漫画を読むと、
「ああ、うちの義母なんて生ぬるいな」と思わずにはいられません。
これぞ、母は強し。
とはいえ、アピールはせずとも芯が強い日本人ママも、
あけっぴろげに色々強いイタリア系ママンも、どちらも尊敬すべき存在なのは確か。
母は偉大なり、ですね。
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