イタリア系フランス人の夫と結婚した私。結婚式はすでに6年前のこと。
思い出補正がかかっているので今や全て良き思い出ではありますが、当日はわりと大変でした。私は大抵笑って済ませるタイプですが、ラテンの血なのか怒りの沸点が私より低い夫は、色んなことにぷりぷり怒っていたり……
そんなフランスでの結婚式事件簿はじまりはじまり。
フランスと日本の結婚式の違いについて、よかったらこちらもご覧ください↓
フランスの結婚式事件簿
1:ドレス選びで義母からダメ出し
ドレス選びは新郎抜きで、女性陣だけで行くフランス。
私は義母と義母の親友(夫の名付け親の妻)と3人で行きました。行き先は義母の知り合いのお店。
フランスの街中にはウェディングドレスを取り扱うお店が数多くあり、どこも目移りしてしまうほど色んな種類のドレスがあります。というか、扱っている商品が白ばかり(ウェディングドレスだからね)なので、ぱっと見全部同じに見えかねないのですが……
「どんな形のドレスがいいの?」と聞かれ、ネットで探しておいたイメージ写真を見せる私。
当時私は三十代に足を踏み入れていたので、いかにも花嫁!な若々しいドレスよりも、ちょっと大人っぽい落ち着いたデザインにしようかなあと思っていたので、例えばマーメイドラインのこういうのとか、
袖がついていてクラシックなこういうの
がいいなあと思っていました。
しかし義母から、「だめだめ!こういうのはね、身長170センチくらいでガリガリに痩せてるような人が体型隠しのために着るデザインなの!あなたはまだ若いし(キャッ)、幼く見えるし(ムム)、身長ひくいんだから(ナヌ)、ザ・花嫁!なふわっとしたのにしなさい!」というダメ出しが。
そしてもぞもぞと私が試着を繰り返している間、どうやら義母と友達は自分が結婚式で着たドレスの話で盛り上がり、それに似たものをお店で探し始め、私が試着室から出てきた時には「あ~、これ素敵ねえ、試着しちゃおっかしら」とはしゃいでいました。楽しそうで何より。
ちなみに身長低いと言われた私ですが、日本人女性の平均アリマス。そして義母は私より身長ひくいです。
市庁舎でのセレモニー
フランスで法的に結婚するためには絶対必要な、市庁舎でのセレモニー。
私と夫は既に日本で手続きをし、フランスで結婚式を行う時点では法的な結婚が成立していたため、スキップすることもできました。
しかし、夫の生まれた町、南フランスのマントン市庁舎には、フランスが誇る芸術家ジャン・コクトーが内装を手掛けた「婚礼の間」があります。
ジャン・コクトー。うるわしい……
私も夫もコクトー好きなので、「せっかくなら記念にね☆」という義家族のはからいで、たまたまダイヤモンド婚を行うことになっていた夫の母方祖父母のセレモニーに混ぜてもらい、市長さんからちゃっかりお祝いしてもらいました。
←マントン市庁舎・婚礼の間
間近で見た壁画はとても美しかった……
ちなみにこのセレモニーの時点では、私たちは「祖父母のダイヤモンド婚の添え物」だったために、まだウェディングドレスは着ていません。(簡易的な白いドレスは着ていた)
この後、祖父母のお祝いランチ会(3時間コースw)を挟んでから、用意を整えて私たちのターン!
私はピアフ、母はデヴィ夫人になったヘアメイク
次は私たちの結婚式@教会のために、身づくろいをする時間。予約を入れていた美容院でウェディングドレスを着せてもらい、ヘアメイクを整えます。
事前の打ち合わせでも、「せっかくなのでフランスの伝統的な感じの花嫁メイクにしてくだせえ」とお願いしていたのでメイクさん任せだったのですが……出来上がったら眉毛がエディット・ピアフになっていた。
↑このような、眉頭から眉尻まで一定の太さの流線形。
私は眉毛が割としっかりしている方なのですが、そっとワックス脱毛を施され(お任せと言った以上、何も言わない)、通常時よりもはるかに細い眉毛に……
ちなみに。
私の両親も日本から来ており、同じ美容院で母はヘアメイクを頼んでいたのですが……
完成したらデヴィ夫人みたいになってた。
濃ゆいアジアンマダムなメイク、これでもか!とボリュームアップされた髪。「何かね……とにかくブローしてスプレーかけて……って、これ以上は私の毛根が限界!ってほど、引っ張ってボリューム出してくのよ」と不思議な顔で呟く母。でも「こんなメイクしたことないわあ~」とケラケラ笑っていました。
地元のプロテスタント教会で挙式
教会式は、マントンにあるプロテスタント教会で執り行いました。
夫はマントンのカトリック教会(でかい)で洗礼式などをやったので、本当はそちらにしようとしていたのですが……私たちよりも前に結婚した義兄が件のカトリック教会で式をしようとしたところ、マントン司祭はOKといったのに、その上の司教区から「カトリックの洗礼を受けてないのはNG」と断られ、ひと悶着あったそうな。
そう、義兄も国際結婚。妻は仏教国の人。だからダメと上からお達しが来たそうで。門を叩いたのに開かないって、それでいいのかカトリック!
私は洗礼こそ受けていないものの、幼稚園から大学までカトリックの学校にいたし、大学の専攻は哲学・キリスト教学だったからイケるんじゃない?と思ったものの、「もうカトリック教会に頼む気はない」とのことで、プロテスタント教会に決定。(カトリック教会に断られた義兄たちも、このプロテスタント教会で式を挙げました)
式の数日前には、牧師様との打ち合わせ。とってもファンキーな方で、
「聖書読んだことある?」
「ええ、洗礼は受けてませんが、一応学校が幼稚園から大学までカトリックでした」
「おっけーおっけー、なら無問題!聖書の授業はスキップね。あ、これ当日読む福音箇所だから、知ってる?」
「ええ、知ってます」
「おっけーおっけー!」
……という会話が続きました。
ちなみに読まれたのは、コリントの信徒への手紙第13章「愛は忍耐強い~」の節でした。毎年学校でやったよ!テストにまで出たよ!(まじで
いざ教会式。義母、遅刻
そんな教会での挙式。
先に新郎(夫)と義母が入場し、その後私と義父が入場。初めてその場でお互いの新郎新婦姿を見る……というのが正しき流れ。なので、教会入場前の新郎と鉢合わせしないよう、私は時間差で到着しなければならなかったのですが……
そろそろ新郎&義母が教会前にスタンバイという時間。私が準備を整えていた美容院に、義母がまだいる。何かお店の人と世間話している。
義母はこの美容院に来る必要はなかったのですが、「ちょっと口紅ひいてくるわ」と言い残して教会から美容院まで移動(徒歩3分くらいの距離)、口紅もひかずにお店の人と散々話し込んじゃってたんだそうな。
そして何故か私と一緒に車で教会まで移動し(本当は先に行ってるべき)、「このままだと新郎と鉢合わせしちゃうから、あなた(私)はいいって言われるまで車の中にいるのよ」と言い残して降りて行ったところ……夫、激怒。
「何で息子の結婚式に遅れるんだよ!!!!!!」と教会前で口論。周りにいる友達が「まあまあ」と苦笑いしながらなだめ、義母は全く気にせず「ほれほれ主役が怒らないの、さ、行くわよ」とどこ吹く風。さすがイタリア系ママン……
ウェディングベールをおろしてなかった
ひと悶着が入場前にあったものの、式は無事に始まりまして。
教会に入場して牧師様の話を聞いているところではっと気づいた。
「あ、ヴェールおろしわすれた」
新婦がかぶるヴェール。最初は顔の前にヴェールをかけておき、後ほど新郎がそれをあげる……というのに、ヴェールおろすの忘れてた!美容院から教会の移動中、リップがつくといけないからあげてたんだった……
まあ、いっか。
義父、リングピローを車に忘れる
既に婚姻成立していたので、教会での式の前にお互い一度指輪を外し、式の間に指輪交換をすることになっていました。
指輪交換といえば、リングピローに載せられた2つの指輪が差し出され……という、結婚式の重要な瞬間でもあります。私の義父母も「かわいいリングピロー買っちゃった、当日楽しみにしててね」と言っていたのに……
差し出された指輪が箱に入ってる。ピロードコ???
後から義父に、「いやあ、リングピロー、車の中に忘れてきちゃってさ(テヘ」と謝られました。
カクテルパーティーの場所が直前で変更
教会式も滞りなく(?)終わり、新郎新婦は屋外で写真撮影をし、参列者は移動してカクテルパーティーになりました。
予定では、私たちはジャン・コクトー美術館の砦の内外で写真撮影をし、
←ここ。背後が美術館。この後内部でも撮影。
参列者は、新しくできた「新ジャン・コクトー美術館」の広間でカクテルパーティーをするという、「あなたたち二人ともコクトー好きだもんね」という義家族の粋な計らいだったんですが……
「カクテルパーティーなんだけどね、ちょっとのっぴきならない事情で、場所貸せなくなっちゃった」と美術館側から数日前に連絡があり、急遽場所変更。パーティーをやるはずだったマントンのカジノで、カクテルもやることに。
しかし招待状には、「カクテルは新ジャン・コクトー美術館、パーティーはカジノ」って書いてしまっていたので、義母が教会でマイクを借りてのアナウンス。「場所変わったから!美術館行っちゃだめよ!カジノだからね!ここ歩いてちょっと行ったら着くから!」と、若干適当な道案内をしていました。
それでも全員無事にカクテルの会場に到着したそうで、よかったよかった。
恐るべき子供たち……じゃなくて、恐るべきフランス人。
それでも終わりよければすべて良し
昔、旅行の添乗員さんから聞いた話ですが。
「イタリア人のツアーって、ほんと大変なんですよ。時間は守らないし、みんなで移動中にふらふらどこか行っちゃうし。でも最終的にはちゃんとおさまって、大きなトラブルはないんですよね、不思議なことに」
フランスの結婚式でなぜかそれを実感した私。
義母が遅刻しようと、リングピローを忘れようと、無事にパーティーまで終わったわけで。多分日本のウェディングプランナーさんがいたら、真っ青になって謝罪してくるレベルかもしれませんが(特にカクテル会場変更)、逆にちっちゃいトラブルがスパイスとなって「フランスの結婚式楽しかったなあ」という思い出になっています。
終わりよければ全て良し。
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