「フランスに”専業主婦”はいない」とは、
都市伝説のようにフランス関連本にも良く書かれている話。
ちなみにWeblio辞書によれば、定義は以下の通り。
専業主婦:就業せず、家事に専念する女性。多くは、税制上課税所得に達せず、扶養家族とみなされる妻のことをいう。
「専業主婦がいない」と聞いて、
「うわあ~、フランス人女性って、フルタイムの仕事と家庭バリバリこなしてるんだ、大変そう~」
と思うかもしれません。
ただ、日本語でイメージする「専業主婦」というのとはちょっと違います。
そもそもフランス語に「専業主婦」という単語はあるのか
あります。
いるにはいるからね、専業主婦。(あ、結論……?
「ファム・オ・フォワイエ(femme au foyer)」が、それにあたります。
家(foyer)にいる(au)女性(femme)という意味ですが、
大体においてネガティブなイメージを持たれます。
専業主婦になりたい若い女子が増えている日本とは随分違いますよね。
フランスで自己紹介をして「私、専業主婦(femme au foyer)なの」というと、
「そう……えっ、他に何もしてないの?」と言われることも。
何しろ、2013年の調査では女性の就業率83%と、
OECD加盟国の中でトップに輝くフランス。
(なのに失業率も結構高いというこの矛盾)
「女性の社会進出!」「キャリアウーマン!」なんて言う必要がないほど、
女性も働くのは当たり前、という社会です。
日本とフランスの労働環境の違い
もちろんそれは、日本とフランスの労働環境の違いも大きいことは確か。
フルタイムであっても基本的に残業なし、休日出勤なんてアリエナイ(役職付きとか経営者は別の話、
もちろん夫側も同じような労働環境にいるため、
お互い家族のために使える時間が日本よりも非常に多いわけです。
また職種も、日本だと
「仕事はしたいけれどフルでは家庭との両立がきついから、パートしかできないの」
となるところが、フランスでは本当はオフィス仕事であっても、
雇う側と雇われる側が納得して契約書を交わせば相当フレキシブルな働き方ができます。
私の友人にも、「週3日勤務で不動産会社に勤めてる」
「在宅でデザインの仕事をしてる。フリーじゃないけど出社しなくていい契約にしてる」
というような人も。
「女性も働け」=「フルタイム正社員でバリバリ働け」というわけではないところがミソ。
(そもそも正規社員、非正規社員、パート・アルバイト的なすみ分けとは違うシステムだから……)
労働環境について色々書き始めると終わらないので、それはまた別途。
次。
重要なのは、社会とのつながりを持っているかどうか
女性の就業率が高いとはいえ、ちょうお金持ちで働く必要もない人はどうなのか。
確かに、お金を稼ぐ仕事を持っていない人もいるにはいます。
しかし、「ほら~、それって専業主婦じゃん!」と思うのはちょっと待ってくださいな。
諸々意見は分かれるでしょうが、
「専業主婦」と聞いたときに思い浮かべるのは
「仕事は持たずに家にいて、家事や育児に勤しみ、まあ時には自分へのご褒美的な時間はあるけれど、
基本的には生活が自分のことか家族の事で完結している」
という状態の女性ではないでしょうか。
フランス人がネガティブに見るのは、
「仕事は持たずにいて」の部分よりも、
「生活が自分のことか家族の事で完結」していることです。
「生活が自分のことか家族の事で完結」。
すなわち、社会とのつながりを持っていないということ。
これが、専業主婦にネガティブなイメージを持たれるひとつの原因でもあります。
例えばちょうお金持ちの奥様で、お金を稼ぐ必要がない人の場合、
ボランティア活動をしたりチャリティのパーティーやサロンを開いたりと、
何かしらの社会貢献をしていたりします。
(職業として多いのは、ジュエリーデザイナーかアートギャラリーのオーナー……)
仕事をしてお金を稼いで国や社会に貢献する、
もしくはボランティア活動などの社会貢献を行う。
自分の人生を社会とつなげておくことが大事だと思っているため、
「専業主婦はいない」という流れになるようです。
専業主婦になりたいと言うと、夫はニガワライ
ちなみに我が夫に「専業主婦になりたいなあ」と言ってみると、
「そうか。じゃあしばらく仕事をしないで、自分のやりたいことをゆっくり探すといいよ」
と言います。
ノンノン、仕事しないで家で家事して過ごしたいの。他は何もしない。あ、お稽古くらい?
と言ってみたらば、
「そのお稽古がいずれ仕事や生きがいに繋がって、
人生を豊かにする一助になる可能性があるならやってみてもいいんじゃない?」
……と、とんでもなく大真面目な答えが返ってきたことも。
(冗談で言ったのに、とはとても言い出せない雰囲気)
「仕事しろ」も「仕事するな」も言わないかわりに、
それをすることで自分の人生が楽しめるなら、何を選んでもその意志を尊重するという姿勢の我が夫。
あれ、もしかしてこの人、なかなかデキた夫なのでは……と結婚6年目にして思う秋のある日。
コメントを書く